「悲しみ」は噛まない、。」/焼石二水
 


「悲しみ」は噛まない、。」


この子が
尾を振る仕草の延長で鼻を鳴らしながら
十畳を嗅ぎ回っても期待は裏切られ
グラスの中で氷が踊る、。刹那
街は窓を彩って
鮮やかでもなく、しかし
賑やかに
夜を深く沈めて行く


月」



噛まない、。



耳朶の余韻にベルリンがまだ
ひと昔前の鼓動で誰かの(人がいたとしての
足音を響かせて
きっと
触れられないのだろう、。私は
犬歯の類いを失った
優しい、。夜ばかり
見ている
言葉も



意味の無い深度まで落ちて
氷が
鳴る/ウイスキーの色は土曜には良い


(あ
(皮膚だ
(不確かな


「悲しみ」は噛まない、。」









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