鏡ノ国 〜港の見える丘公園にて〜 /服部 剛
 
 赤煉瓦(あかれんが)の橋を渡る 
 傘を差した婦人がうっすらと 
 遠ざかる面影映る 
 Cafeの窓 

 四角いテーブルの前には 
 文学館で偶然会った詩友が 
 詩について語っている 

 一足先に友は去り 
 文学館に残ったわたしは 
 ガラスの向こう側に貼られた 
 直筆の原稿用紙に目を凝らし 
 今は亡き 詩人の声を 耳にする 


 小雨降る 
 港の見える丘公園 
 森の入口へと続く 
 木の階段を下ってゆくと 
 ぽたぽた と 
 あちらこちらで 
 雨の滴(したた)る音がする  

 今は亡き 母子の像は 今日も{ル
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