欲望/結城 森士
 
暗い所に立っていた。丘の上の。静かな。
人達は、教えてくれなかった。
僕が危険なところにいることを。
僕が助けようとした少女は
自ら崖の下に落ちていった。笑っていた。
僕は座り込んで、震えていた。
ひどく冷めた月が、降って来る。蒼い。
        光のある方向に白い傘が落ちる
             十一の瞳が僕を見る
               光を伴っている

人々は教えてくれなかった。
とても冷めた目で僕を見る。
その場所はとても危険で、
僕は既に足を踏み入れていた。
僕は。僕の白い、蒼ざめた手を見て
ただ、誰かに助けを求めようとした。
慈雨はただ去
[次のページ]
戻る   Point(0)