始発前の駅前屋台にて/錯春
茶色い爪先は陽に焼けているのではなく、
陽を吸い込んでいるのだ
日焼けした老人と同じ色の
みずみずしい大根を屠りながら私はぼやく
どこだか、ここはと顔をあげると、いつぞやの相模原のおでん屋であった
あれまぁ、と傍には可愛い神奈川県民の恋人
すっかり出来上がって、
どんぶりに顔突っ込んでぐったりしている
おい起きろよおでん汁で死ぬよ
と肩をゆすると、ゆーらーと顔をあげ、
慣れ親しんだ味がするくちびるに竹輪をくわえている
これ、スープ吸えんだよ。しかも竹輪あちぃからスープも冷めない。どーよ。
どーよって。私が絶句していると竹輪をもむも
むもむと爬虫
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