湧き水湧く流れ/錯春
?,河川敷
熱を出した私の連れ合いが熟した果物がその表皮を裂いてガスを放出するような寝息を立てている。
身につまされるような気持ちで風邪を訴える連れ合いに食事と感冒薬と冷えピタと氷枕を与えて、そうしたらもう何もすることがなくなってしまった。
熱をだしている人は、驚くほど素直に生きている。
熱をだして、ふうふうすうすうと、とてつもなくあついものを冷ますように刻む呼吸は、いつかごおごおと海に変わっていく。
荒い瀬を渡って、その深い水底は何故だか河のように淀んで、緑色に濁っている。
私はぼんやりと自分の産まれた、そして育った東北の片田舎の土手を思い出す。町の真ん中に
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