水辺で見た夢のこと/猫のひたい撫でるたま子
 


寝起きに、桃を探してしまった


腐った桃の匂いがしていて

いつかの甘いあの味が、

まだ、口の中を漂っていく


鼻孔まで浮かんできては、落ちてゆく

はっきりとせず瞼をこする


そうだ、あの桃は

まだ食べ終わってもいないのに

捨てられてしまったのだった





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