土曜日の夜(小雨だった)/蔦谷たつや
 
ダンボール箱
いや、もう、箱ではない
これに
俺は
云いようもないさみしさを覚え
やあ、俺が
もう、君のよに、なってしまったら
どうしよか
なりたくはない
ダンボールのよに
雑用されるのなんて
いやだ
それでもう
云いようもなく、悲しくなって
ポケットに
両手を隠した

ひどいのだ
いや、もう、ひどさすら感じない
これに
俺は
云いようもないさみしさを忘れ
いや、忘れたいのだけども
いまに、君のよになって
どうしよか
なりたくはない
ダンボールのよに
屋根にされるなんて
いやだ
それでもう
云いようもなく
云うことすら忘れて
ポケットに
両手を隠した

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