帰り道。/愛心
ってみる。
家まで後、数メートル。
目の前から大好きな君がやってきた。
鼻歌を止め、立ち止まる。
大音量の鼓動と共に、顔が徐々に熱くなる。
すれ違う瞬間。
夏の匂いと、風と、君の匂いが、一気に私を包んだ。
「頑張れ。部活。」
かすれるような声で呟いた。
「おぉ。お前もお疲れ。」
優しく、君も呟いた。
ただそれだけなのに、嬉しくなって、顔はにやけて、足取りは軽くなって、
最後の数メートルを全速力で帰った。
そんなあたしの、いつもの帰り道。
[グループ]
戻る 編 削 Point(3)