帰り道。/愛心
 
部活に疲れた放課後。
少し重く感じる鞄を左肩にかける。
ペットボトルのお茶で、からからに渇いた喉を潤すと、
いつもと違う道を歩いてみた。

最初に感じたのは、放課後になると、夏の匂いがするようになったってこと。
四月の頃は暖かい、と思っていた風も、今では異様に生ぬるくなっていて、
私でいう「夏の匂い」を乗せて、世界が赤く染まる時を、走り回っていた。

「夏の匂い」とは
土と、草と、涙と、たぶん私たちしか感じない、
「青春」
が混ざった切なくなるような匂い。

夏の匂いは優しい。
風がただ気持ちいい。
鞄のキーホルダーと、お茶の鳴らす音をBGMに
小さく鼻歌を歌って
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