蒼ざめた太陽/結城 森士
 
毎朝 4時に訪れる新聞配達人の乾いた靴の音が
新聞受けの 錆びた鉄の反射する音が
眩暈となって彼の思考に重なる

今日も黙って去っていき
錆び付いた自転車に乗って
まだ寝ている街を抜けていく
独りの影、細い道の裏通り
錆びついた車輪が鳴っている
自転車の後ろに残る轍には
過去という糸が繋がっている
しかし彼は見ようともしない

気分が高ぶること、低くなることなし
彼の太陽は、常に蒼ざめている

楽しいこと/笑うこと無く
精神はあっても感情は無い
休みの日には影をつれて人ごみの街を歩く
ポケットに手を突っ込んで
精神はあっても感情は無い
麻痺しているだけかも
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