【短歌祭参加作品】えいえんに春は/たたたろろろろ
 



春風よわたしは山に籠もります春の匂いを極めてきます


砂塵舞ふ 濡れし視界をみぎひだり桜ぞ桜のままに毀るる


月面を宙返りせしあの影は二月生まれのナルシストなり


噴水はその水圧をあぐるべし輝きながら濡るる少女ら


涙腺が壊れています涙腺が壊れているのは涙腺じゃない


夕顔の咲いているのに火を放ちコラージュ写真のような顔たち


手さぐりで夜を求めて子供らは手を繋いだまま眠ってしまう


何世紀ここを動かずいられるか何と無く咲き何と無く散る


色情に酔ひぬコンビニ店員に貰ひしレシート裏の桃色


終わらない日曜日まで転げゆく亀の甲羅の中でぼくたち



 








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