鉄塔を登る幽霊/錯春
れている
日に焼けたコンクリートに しっかりと影を落とし
君の手は温かいね
まるで焼けて溶けてくっついてしまいそうだね
まるでずっと死んでいるみたいだね 私達
待ってたよほんとだよ
君の声が聴こえやしないか
ちょっと欹ててみただけ
鉄塔を登っていく 幽霊は清潔な瞳をしている
一定の高さまでになると そこでとまる
鉄塔を登る幽霊だけが
それらをみることが つかむことができる
鉄塔を登る幽霊は 慈しむ視線でそれらを撫でる
鉄塔を登る幽霊は 優しいさわりかたをする
戻る 編 削 Point(6)