谷川俊太郎氏への手紙 〜名詩を読む?〜 /服部 剛
谷川俊太郎様
今僕は、ショパンを聞きながら手元にある詩集を開き、「ネロ」
という詩を再び読もうとしています。もし、人の心からいつまでも
消えることの無い詩があるならば、今から五十年以上前に書かれた
この詩の中にいる一人の青年がその答を教えてくれる気がします。
{引用=ネロ ー愛された小さな犬にー
谷川俊太郎
ネロ
もうじき又夏がやってくる
お前の舌
お前の眼
お前の昼寝姿が
今はっきりと僕の前によみがえる
お前はたった二回程夏を知っただけだった
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