アンダンテ/霜天
ポイントは、スロウ
誰かが間違ったとか、テレビが吐き出しているけれど
それが本当かどうかなんて誰にも、分からなくて
無駄なものを省いてきた、そんなつもりの生き方だけれど
結局何も捨て切れては、いなかった
校舎の四階、最上階
東を向いた白い壁の一列の、北側の端
広い、広い部屋の隅に並べられた個室
窓から見える空は狭くて、どこまでも広がっていきそうで
両手と、両足と
声を伸ばせば突き破っていけそうな部屋の中で
弾くことも出来ない言葉を弾いていた
*
思い出せる言葉には限りがあるけれど
僕の中では、僕の呼吸が出来た
こんな大人になりました、と言え
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