「 贈りもの 」 /服部 剛
 
れでいいんだよ    」 


( 使いものにならなかった 
( あの頃の僕が 
( 悔し涙を流した夜 

( ラジオから流れる
( ダンボールに捨てられた犬を 
( 通りがかりの人が拾う物語に 
( 耳を澄ましていた 


今日は8年目の就職記念日

スタンドの灯りに照らされた 
机の上にはCDが1枚 
あの頃捨て犬だった僕を 
拾ってくれた上司からの贈りもの 

ジャケット写真には 
肩を並べてほほえむ 
フォークシンガーと 
ギタリスト 

ぼくが座る
背後の壁に掛けられた 
古時計の音 

夕焼け空から降ってくる 
遠い昔の唄 

静まり返った老人ホームで 
ひとり 想いを 噛みしめる 





  * この詩は加川良の唄
   「ビールストリート」・「ウィスキー色の街で」の 
   歌詞を参考に書きました。 







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