限界/アンテ
て言えなかった
次第にうす暗くなって
静かになって
いつしか風もやんでしまった
おおい
呼んでみても
どこからも返事はなかった
おおい
深くなる闇を漂いながら
仲間を捜してみたけれど
だれにも逢えなかった
ごく小さな声が聞こえるようになって
源をさがすうち
自分の表面から発しているのだと気づいた
注意して見ると
ごく小さな生き物たちが表面に住みついて
ごく小さな営みをくり広げていた
しゃぼん玉が割れたらおしまいなのに
彼らはとても一生懸命で
言葉をかけることもできず
せめてできる限り生き延びようと思った
彼らのために
限界まで生き延びてみようと思った
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