/ki
 
紅茶のカップを回す。 
くるくる回す。 
中身だけが回る。 
外は当然笑わない。 
目を回すなんてことはない。 
だってもう大人ですもの。 
笑い方、大人の笑い方は、 
右端かと思わせておいて唇の左端を吊り上げて 
にいっと笑うことだと、 
ある恋愛小説に書いてあったのを私は密かに実行している。 
その三日月のように尖った先にあなたは捕まっているのかしら、 
唇を撫でながら私の目は笑わないようにするから、 
目に力が入って、 
いつも目がぱっちりだね、 
と言われるのだ。 
まぁ、それも全てその恋愛小説で知ったことなんだけれども、 
紅茶やコーヒーの色の髪をした
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