13才の幻/ゆうさく
 
シャワーは記憶
流れる水と共に
思い出が蘇ってくる

(故郷が蘇って消えていく)

田んぼの匂い
故郷が溢れる

夕暮ノスタルヂア
6時の鐘
流れた音のあとの憂鬱

(少年の香りが消えてゆく)

初恋の少女
スカートゆらり
林檎の香り
頭をよぎって
消えていく

泥だらけサンダル
駆け足奏でる、
夏の音。
ポケットの百円が
温もり始める

(少年の香りが消えてゆく)

自立の日ブラックコーヒー
苦すぎる気持ちに喉がしびれる
大人になりたくて飲んだら
まずすぎて
そっと空にこぼす

13才の残像
黒空にゆっくりと
青春を溶かしてゆく、
自分を見ている
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