空の波紋  /服部 剛
 
長い間 
「 わたしなんて・・・ 」 
と俯(うつむ)く影を 
地に伸ばしていた 

ある晴れた日 
緑の掌(てのひら)をいっせいに振る 
背の高いポプラ並木の道で 
ふと立ち止まり 
頭上の空を見上げると 

「 わたしは、ある 」 

という音の無い声が響いた 

頭上にひろがる空と 
わたしの心の空に 
不思議な波紋(はもん)が 
ひろがった 







戻る   Point(7)