8月の同窓会/渡 ひろこ
 
見果てぬ夢を抱いたまま
いくつもの夜を越えて巡ってきた


摂氏34度
陽炎のような曖昧な輪郭
記憶と現実が交差して
今 密やかに始まる
8月の同窓会


かくせぬ僅かな緊張

見えない点を中心に均衡をたもつ半径

移動しても縮まらない対角線


武装解除はマナー・モード忘れた
着メロ“TUNAMI”


やがて無垢で無邪気な迷える男女
湿度と喧騒がからみ合う街に
流線型にあだ名を飛び交わし
軽やかに消えていく


         {引用=
         (無防備な時間は泡沫の夢のかけら
         それは子供の頃に舐めた舶来
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