雨と少女/弓束
ジにさびはじめたわけでもなく、かなしいくらい中途半端になまりのようないろをしている。部屋のなかには誰もいなくて、ただ遠くより雨おとがしきりに聞こえている。さあさあ、と涼しげに、まだあかるい屋外を濡らしているのだろう、きっと。
ふ、と考えてみるのだけれど、鏡のなかの世界にもこの心地よい音は響いているのだろうか。わたしはやっぱり、なやみとも言えないなやみを抱えてそうな、少女なのですか?
(返事はいりません、自問自答にはあきてしまいました)
冷え冷えしたすきま風がわたしの頭を撫でて、呼び止める間もなく過ぎ去っていきます。
雨が降っている、よ。
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