『Kiss・Kid・Kanon』/川村 透
眠ることは死に近い、君よ
僕の腕の中、泣き腫らした目をして、しゃくりあげる赤子
蒸し暑い夜のありふれた、それでいて、不吉なくらい真摯で痛々しい、寝ぐずり
君は運命にあらがうように手足を突っ張り地の底に墜ちてゆかんばかりに
反り返り涙のつたう白い顎で父の抱擁を拒絶し続ける
カノン
僕は目をつむり祈りながら君とワルツを踊ってみせる
カノン
僕は目をつむり祈りながら君とワルツを踊ってみせる
カノン
僕は君とワルツを踊る
カノン
眠ることは小さく死ぬことだ
君が君でなくなり、いなくなってしまう、ことだ
僕は目をつむり祈りながら君とワルツを踊ってみせる
カノン
カノン
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