執着ジュース/ブルース瀬戸内
いながら、
加速しながら坂道を下りていきます。
加速して加速して、
いつしか男の子は手を大きく振って走りだします。
万国のジュースよ、結集せよ。
男の子はスピードにまかせて奇天烈なことを言いながら
坂道を走り抜け、勢いでおばあちゃんの家を通り抜けてしまいます。
ジュースよ、とっくに君の目前に私はいるのだよ。
男の子は勝ち誇ったようなことを言いながら、
道を戻っておばあちゃんの家に着きます。
おばあちゃんは家の前まで出てきてくれて、
「ノド渇いたやろ」と牛乳瓶を僕に差し出します。
「ジュース・・・より牛乳が好き!」
と男の子は言い切って、牛乳瓶を受け取ります。
男の子は少し苦い顔をして牛乳を一気飲み干して
白いヒゲを作って
青い空を見上げます。
何かに執着しないように
青い空を見上げます。
おばあちゃんが微笑んで、
男の子をじっと見ています。
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