夢と君とさよならの話/soft_machine
 
四月も終わろうかという頃
まるで冬枯れの車内に身震いで目覚めたので
夕暮れの油山を取り囲むように出現した街に
シビックの眠気を誘うパッシング
モールス信号を試みる
間髪を入れず
一斉に返答してくるのは
いち早く日没することになった
山の影に住む人達の切なる願いで
日照権を盾に市を相手取る

山をミケランジェロに削らせよう
但しヘンリ・ムーアの様式で
然る後、その削り出された土砂石を粉砕し
あなたを称える階の材とし
伐採した木々は
沈みかけた国々を浮かべる筏としましょう
そして引き抜かれた花々で
ビル群の屋根を迷彩すれば
乙女達を彩る香水が
余すことなく溢れる
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