新世界/山中 烏流
雨上がりの世界
虹はもう、霞んで
短い終末を迎えた街に
新しい世界がやってくる
隅っこでうずくまったままの
黒く淀んだ
嫌われたものたちの声が
啜り泣いているのを
人々は
気にもとめないで、いる
「明日、朝が
やってきたその時
僕たちはただ
なすすべもなく」
何もない
真っ暗な闇の中に
引き摺り落とされることを
知っていても、なお
誰も助けたりは
誰も憎んだりは
これを、世の常として
夜闇が
世界を引き連れて
薄ぼんやりと
明るくなっていく
嫌われたものたちは
も
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