ひとりきりの日曜日/竹節一二三
雨に打たれ散る花のことなどしらない
サボテンのとげが雲に向かって伸び
天上では太陽に向かって縮れた風が伸び上がる
カップに入れた珈琲はいつものように薄く
カレンダーは四月のまま終わらない
携帯電話の電源を切り
布団を敷いてあぐらをかく
テレビはしばらく電源を入れていない
しずかに頭痛が迫ってくる
桜は散って久しく
いまはゼラニウムしか目の前にない
緑の光が目に差し込んで
今の時間を忘れさせる
雨の間にひとつのネーブル
オレンジ色の味を噛み締めて車がゆく
小鳥は街路樹の中に沈み
魚は池に踊る
猫は外に出ない
私も外に出ない
冷蔵庫の中身
小さな魚と柔らかなみどりのレタス
ひとりきりで日曜を過ごす
コップに入れた珈琲は薄く湯気を吐き
雨に打たれて花は散る
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