その墓には名前がなかった/soft_machine
あなたが去り
私は、失った
その墓には、名前がなかった
私が愛した、名前がなかった
今太陽が割れて浜を照らす
その潔癖なほどまっすぐに
見下ろし揺るがぬ様は
カルワリオの丘が
あの日あなたを
受け入れたのと同じもので
回転する日の海にたわむれ
温和しい鰯の群れにむらがり
子どもたちが
つぎに誰をなかま外れにするのかを
目つきで合図する
生活はあの日と同じ手順で
一点の松にその背を永らえ
恋人の生死を
水平線の彼方に問う時
孤独な青年の影も
あの日と同じ過ちだった
その墓には名前がなかった
男達は船足を競い
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