茜色の慕情/渡 ひろこ
 
おめかししてまいりましょう
からす瓜もほんのり色づいて
アザミの花が熱いため息ついたから
あなたに逢いたくなりました

おめかししてまいりましょう
赤いカエデに負けないように
くちびるに小指でそっと紅をさしたら
金木犀が甘く香ってくれました

戯れてくるススキの野原をかけぬけて
うすむらさきに咲くヨメナの丘をこえて
金色の夕陽をまとい
ほつれ髪に小さなナンテン
きれいでしょう

あふれる想いは
木洩れ陽のようにきらきら
だけど
せつない気持は
落ち葉のようにゆらゆら

どこにもいかないで
まっててね
まっていてね

ホウセンカの実がはじけるように
とんでいくから

おめかししてまいりました
どうしてもあなたに逢いたくて

あざやかな秋が
暮れるまえに




















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