椛の木陰 /服部 剛
 
数え切れない掌の 
風に揺られる隙間の空に 
うっすらとけた、不思議な瞳。 

親の面影 
友の顔 
わたしの名を呼ぶ誰かの声

いつか
いずれの顔も消え、空に遺される 
いくつもの、不思議な瞳。

わたしはいつも、つつまれている。 
大きな椛の木の下で 
小さい芽を出すいのちとなり 
数え切れない掌が 
風に揺られて唄う時 

今日もわたしは少しだけ 
空を目指して
背丈をのばす 







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