行く先/山中 烏流
足早に通り過ぎた
世界は今、遥か後方で
私を呼んでいる
擦れ違った私は
遥か前方で ただ
先を、見詰めている
ネジが何処かで
一本抜けてしまった
から
世界と私は
奇妙に捻れて、しまって
世界の行く先と
私の行く先は
真逆になってしまった
らしく
差は
開いていく
丁寧に裏ごしされた
さらりとした涙が
どろどろになるまで、
もう少しかかる
かかる、けど
世界が私を置いて
進むのには
もう既に
充分過ぎる時間が
経ってしまって、いる
行く先を仰ぎ見て
はた、と
気付いたのは
その時
真っ直ぐな
私の足跡を、見た
そうか
捻れてしまったのは
私でなく、
湾曲してしまったのは
私でなく、
あの
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