五感する/あおば
2007/04/23
牡丹が咲くと
必ず風が吹くのです
誰かがそんなことを言うから
今日も不機嫌そうに
風が舞い降りて
牡丹芍薬百合の花を
へし折ってやるというように
つむじを曲げて
路地を巡って
牡丹はいないか
芍薬は隠れていないか
白百合はいるはずだと
家々のドアを叩いて
ガラス戸を揺らし
サッシの隙間から
嫌らしい目付きでのぞき込む
ストーカー防止法を
知っているのに
知らぬふりして
ケータイに迷惑メールを
連続してかける
全存在をかけて
美しい花をいたぶり
強引に我が儘に
嫌と言うほど
いやらしさを見せつけ
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