自動販売機と俺。/もののあはれ
 
込んでる様な。
追い詰められた様な顔で日々生きているんだと聞かれた。
俺はうまく答えられず押し黙っていると。
バカだなと笑って叱りながらミルクティーでも飲めと言われた。
俺はほっとして優しい温かさのミルクティーを飲みながら。
もはや喉は渇いていなかったがここまできたらと。
今度こそコーヒーを買うために小銭を取り出し自動販売機に入れた。


そしてボタンを押すと今度こそコーヒーが出てきた。

俺はついにコーヒーにたどり着いた喜びを忘れ。
たかが人間の俺なんかよりもあなたのほうが。
ずっとずっといかしてますねと自動販売機を称えた。

『アリガトウゴザイマシタ。』

自動販売機は照れくさそうに最後だけは機械的な口調で礼を告げた。








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