ume/見崎 光
 
朱に染められた蕾が花開く時

甘酸っぱい薫りは辺りを翻弄する

紅に時は流れ
月光の降る闇夜に抱かれたとて
臆することなく咲き乱れ 遊ぶ花弁


散り終えた殺風景な枝葉の影に子を宿し

陽射しに煽られながら朱の空を待つ

遠い日の
我が子の晴れ姿に酔いしれながら
幻覚に過ぎない幸を祈りて
紅が誘う穏やかな刻みの中を落ちていく


鶯は寂しげに
一鳴きを響かせた






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