花弁の円螺/結城 森士
発光する幾つもの花びらが
十六夜の月の輪郭を辿り、滑り、落ち (落ちた)
―――夜/舞う
幹を中心に弧を描き
、片足の僕は倒れ
、意識を辿り
、滑り、落ち (片足を残したまま、落ち)
幾つものサヨナラが遠景をなぞりながら、
二重三重と交して流れ、溶けていく、夜/舞う
―――そこに光の女が現れ、振り子のブランコに乗って再び消える
風に流され
、花びらは嘘をつく
醜く汚れながら下流を目指す
闇にこぼれ落ちた波紋
とどまることなく溢れ
とどまることなく囁き
声となって溢れ続ける
雫()
雨(滲む)
傘の群れ(色とりどりの)
電灯の羅列(点々と続く)
―――そこに光の女が現れ、白い傘を振りながら遠くへ消える
花びらが発光する夜に
小さく、大きく、ぼんやりとした円は
互いに交差しながら、侵食しながら、消える、夜/舞う
時針、ブランコの頂点で手を伸ばした
けれど、枝の花には届かなかった
そして僕は振り子になって
、闇に飛び、滑り、落ちた 夜空へ
残された片足は回転を続けている
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