耳の産声/あおば
 
            2007/04/17


生まれたときは
なにも
見えなくて
最初に見たのは
放射光のように
青白い
君の
瞳だったとは
罪のない
たとえ話のつもりでいても
今日の、
耳の奥からも
牛若丸が飛び出して
弁慶めがけて斬りかかる
弁慶長刀振り回し
牛若めがけて
振り下ろす
金属と金属の激しい衝撃が
火花を散らし
暗い夜空を焦がします
大げさな形容を恥じて
古くさい感覚を納めてから
テレビのスイッチを切って
気を静めてから
窓の外の暗い空を仰ぎ見ると
冷たい雨が冬の顔して震えている
明日の朝はコートを被って小走りで駅に向
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