そうして夜は酔いどれて/nm6
フリーダム。
自由は、雨あがりの蛍光灯にぼんやりしている。
コツコツするのは足音だ。地下鉄のホームに、つるりと鮮やかな緑色の椅子が並ぶミニマルな夜は終電の少し前。ふわり、酔ったような光は湿気のせいで。明るさと明るさ、明るさ同士がぶつかり合うことばはバラバラとしたひとかたまりのざわめき、という。連なって重なって、畳み掛ける複数の会話が総体としてぼくに、徐々に大きくなるのは、近づいてくる足音だけじゃなくて、ある跡。ある跡をここに。そうして夜は酔いどれて、一方のぼくはしらふだ。
通り過ぎるひとの眼鏡が蛍光灯を吸い込んで、ぼくらにさらけて映す。
それは遠くをはっきりと見るための道具
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