詩集・人生の最中に/生田 稔
女は互いにいくつも
恋をしたことを恥ずべし
わたしと貴女だけの真実
それが確かにあるのだと
信じて別れろ
そして、数年が過ぎ
出会ったら
あれ以来忘れていないことを
テーブルのコーヒーに
砂糖を二匙入れて・・・・・
ミルクはいいかいときけ
女はニッコリ笑ってうなずけ。
並木の午後
病院の待合の
白い服の看護婦さん
呼び出しを待つ
なんとなくソフィストな
彼女の姿
郵便局の角に立つ
ポーズの良い
ある娘
初冬の午後
着込んでいる
彼女の姿
並木道、車の走る
すれちがって
ふと匂う
なんとなくよい香り
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