詩集・人生の最中に/生田 稔
われていく。
拓次さんへ
拓次さん、お金がなかったかもね
独身だつたそうだ
詩で食っていけない僕
詩をたいせつにする人少ないね
書店に詩集がすくないことよ
店主だったら 半分以上詩集 歌集でうめるけど
そんな店みないなあ
恋人もお金かなあ
あなたの美しい詩を読んで
判かつたよ
禅坊主でも 修道僧でもない
ただ詩人だ
僕はね 永年の貧乏詩人やめて
ばかになるよ
いまに詩の時代が来る
林檎の歌笛
紅い実をつくリンゴの木々の
春まだ浅き夕暮れの
通り道にはものかなし
笛をしきりに吹く娘
あたりで遊ぶ
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