プラットホーム・メランコリィ/山中 烏流
終着駅から
半歩前の所で
君は
手を振っている
僕は
その姿を知りながら
振り向きもせず
再出発のベルを
待ち望んでいる
さようならは
とうに
枯れ果てて
しまったから
涙は必死に
堪えなくては
ならない
ここから先のレールを
君が
見た事はない
君へと続くレールを
僕は
何度も歩いているのだけど
(各駅停車も)
(ここからは)
(特急に変わります)
さようならは
とうに
枯れ果てて
しまったから
涙は必死に
堪えなくては
ならない
遠ざかる景色が
滲む事を
決して
許してはならない
その切り取った景色に
君は
いないのだから
(ジリリリリン)
(発車まで)
(あと、)
涙は必死に
堪えなくては
ならない
例え隣に
君が
いなくても
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