世界を塗りつぶす/山中 烏流
暗闇に置いてきた
僕は脆く
崩れ落ちて
反響に似た響きで
誰かの声が
木霊している
あの街で見掛けた
黄昏時のカフェからの
芳しい香りよりは
(分かりきった事だが)
暗いものと
変化している
四つ折りにした手紙より
透明感を持つものは
全て
焼き捨ててしまって
凝り固まった
あの子の脂肪のような
汚いものに
埋まってしまえば
楽 なのに
(楽なだけなことも、全て)
使い古した
言葉を並べただけの絵本に
感動する時代は
もう とうに
過ぎ去ってしまっている
だからといって
無機質な機械語を
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