射精についての覚書、あるいはボードレールについての覚書/んなこたーない
 
フロイトの「生殖を目的にしないあらゆる性行為は倒錯的である」という発言だ。生殖が目的でない性行為を人間特有である、と言いきっていいものかどうかはわからないが、少なくとも人間的行為に違いはあるまい。そうなると、倒錯的であることが人間の本質であるということになる。倒錯が本質、というのが文章として成り立つかどうか怪しいものだが、暴力のない日常が退屈なように悪徳のない人生は魅力に乏しい、それには疑いをいれない。

 「美は常に奇妙である」
 こう言ったのはボードレールである。
 「規則通りに行かないもの、即ち、思いもよらないとか、不意打を喰らわすとか、びっくりさせるとかは美の本質的な一部分、美の特
[次のページ]
戻る   Point(1)