エビフライのタブー/ブルース瀬戸内
カラッと揚がってごきげんの
エビフライにも意地があります。
ピンと伸ばした背筋なんて
エビの本分ではありません。
ごきげんなのは所詮、愛嬌です。
無意識のうちにキツネ色を望んでいたなんて
心外の極みなのです。
エビにとって背骨のバネは重要で
これを奪われた瞬間に
エビを逸脱したとすら言えます。
つまりバネの機能しないエビのフライを
エビフライと呼ぶのは少々乱暴な言い方なのかもしれません。
カラッと揚がってごきげんの
エビフライにも意地があります。
タルタルソースとの蜜月なぞ言いがかりに近いのです。
偶然、相性に齟齬がなかっただけです。
ごきげんなのは所詮、愛嬌
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