大きくなる/イダヅカマコト
脳梗塞と宣されて頭を下げることと
発見されなかった腫瘍に訴訟を起こすことに貫く
この世界に適合していたという家族たちのあくまで肯定的な評価は
死ですら自ら取り寄せなければならないという
自立の気風に富んだ近代に似て鉄の味がする
産まれた時の一ヶ月間の訓練と
健康診断という名の一年に一度の予備役演習を経て
クレゾールの匂いに足を辛め取られないよう
三列縦隊で行進する僕らの大部分が迎える
一つ一つの病院での死 それは
自己愛を報じた五十六億玉砕の過程として
常に語り続けられる必要があるのだ
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