少女式/今唯ケンタロウ
 
 その少年は、少女で動いていた。
 少年のどこかに少女が埋めこまれている。
 少年はときどき吐き気がする。
 そういうとき、たいていそれは夜だけれど、砂浜を思い描く。すると、少女が少年の砂浜を歩き出すのだった。
 ……長い髪のはえた歯車がからからと音を立てて、廻っている。だれかが、「成長」とちいさな声でつぶやいた。……
 少女は、天使を引きずりながら砂浜を歩いている。天使の羽はとれ、手もとれ、足もとれ、それは機械仕掛けのオモチャである。天使はつねに壊れつづける。少女は大人になるために与えられた部品で天使を修繕していく。少女は大人になれない。少女は大人になりたくない。
 天使はいつもつめ
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