無情の大地へ/渡 ひろこ
 
何が起きたのかわからなかった
地鳴りと轟音とともに
その瞬間
すべてを失った
激しく燃えさかる炎と
黒煙の中
太陽は赤く揺らいだ


衝撃と
悲しみと
脱力感の中に
いた
茫然といた
人間として極限の
痛みの中にいた


うめき声
泣きさけぶ声
助けをもとめる声
声なき声
声・・・それは
螺旋状にあたりに渦まいていた


「プレートとプレートがぶつかって・・・」
どこからかラジオが聴こえる
絵空事を語るように
頭の上を流れていく
無機質な音声が
凄惨な現場を通過していく


そう・・その通り
無情なプレートがエネルギーを勝ち得て
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