「 両手の皿 」/
服部 剛
今迄
子供のように手を伸ばし
あれがほしい
これがほしい
と駄々をこねて
なにひとつ
この手につかめず
「幸せ」はいつも砂になり
指のすき間から流れ落ちた
貪欲な手を下に垂らし
ほしがっていた全てを捨て去り
両手をまあるい皿にする
しずかなこころ
見知らぬ明日から
こちらへ向かう遠い人影
ひとり ふたり
「値札のない贈り物」を手に
足音もなく
歩いてくる
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