退化する雨/ねろ
 
視線の低い僕に繋がれた
のんびり足先まで溶け出す夕暮れと
女の子の目は右に左にゆれだすのが
振り子みたいだと僕は思ったり
たとえばあの踏切の手前に出来ていた
水溜りが死刑囚をモチーフにした絵に
似ていたりすることが好きだ

南極でゆれている弦が回転していくスピードは
はしりさっていくこのへやの密封された空間の隙間
ただだらしなく歩くのをやめて、やめて、って小さな子が
脇をとおりすぎていくのに似ていて弧になってオレンジを
吐き出しおいかける

昼間の螺旋を追いかけること
雨の日にじわり、と血の匂いがすること

地面にはいちめんの音、音、赤い音
がしている


[次のページ]
戻る   Point(24)