灰/海月
記憶の奥底、光が届く事なき場所
誰の手も触れられなく汚れる事なき思い出
耳を澄ませば、僕の名を呼ぶ声が
微かに日付が変わった日に雨に混ざり
聴こえてくる
忘れかけの言葉と記憶と云う名の筆と絵の具
白と黒の風景に色が付く
風の音、陽射しの温もり
君の声、木陰に隠す気持ち
季節外れの白い肌が夏の印象を忘れさせる
細い身体の線が崩れ落ちる音が聴こえそうで
僕は耳を両手で力強く塞いだ
君の言葉は何も聴こえない
未来の僕らに向けた手紙を書いた
三日も過ぎれば自然と忘れる筈
恥ずかしい事や素直な事は何故か忘れられず
忘れたいと願い
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