春の詩を書くために/ブルース瀬戸内
風が時にそうであるように
春の詩は私たちに随分とつれない。
正解はいつも蚊帳の外だ。
正解ではないことを正解に擬装するために
私たちはありとあらゆる英知を結集させる。
それを無駄というのは簡単だが、
やめる理由にはならない。
私たちはロジックを超えてしまっているのだ。
だからこそロジックは癖になるほどに心地よかったりする。
感情はいたって流動的で
本当はロジックを周回するのに手一杯なのだ。
それでもつぎはぎの感情を身体中に滾らせて
彼方に未来を覗こうと強烈に思う。
だから春の詩を書くのだ。
たとえ理由が結果的に理由であってもだ。
戻る 編 削 Point(3)