回廊/
アンテ
不意に鍵がはずれる
扉がきしむ
一歩進んで
そっと目を開けてみる
うす暗い
はじめて見る場所だ
長い長い回廊
壁にそって
同じような扉がならんでいる
暗闇の向こう
だれかがうずくまっている
小さな身体が震えている
歩み寄って
手を伸ばして
でも 触れられない
なんて言えばいいんだろう
振り返ると
開いたままの扉
いったいわたしは
なにを伝えたかったのだろう
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